雨あがりの空に
「いいの~!ママ、早く拓海の運動会を見たいから!ほらっ!行くよっ?」

翠は、拓海の手を握った。

「うんっ!!パパも手繋ごう?」

「…おう!」


俺と翠の間には、俺たちの大切な宝物…拓海が居る。


幼稚園までの道のりは、俺にとって凄く短く感じた。


翠と拓海が側に居る…これがどんなに幸せなことか…。

大切なことを…今頃気づいても……俺は、バカだ…。


そっと心の中で思っていた。



「見てぇ!ママ!僕、運動会の日は…この運動場で走るんだよ~!」

幼稚園の運動場に着くと、拓海は喜びながらそう言った。


「拓海っ!運動場を一週、走ってきて!ママに見せてよ。走ってる拓海の姿を!」

翠は、微笑みながら言った。

「うんっ!!」


元気よく走る拓海。

俺と翠は、ブランコに座った。


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