雨あがりの空に
翠は…あんなにも笑顔なのに…。

翠は…俺に何度も笑顔を見せてくれているのに…。


一番、怖いのは翠なのに…。

俺が怖がってどうするんだよ!


両手で頬を叩いた。自分に言い聞かせた。…しっかりしろって!


大丈夫…。家族なら何でも乗り越えていける。そんな気がした。



俺は、翠と拓海の側に駆け寄った。


三人で楽しく遊んだ。

大人のくせに、これでもかってくらいに遊んだ。

まるで高校生の自分に戻ったかのようだった。



気付けば夕方…。


「…そろそろ帰ろうか…」


「「うん!」」


また三人で手を取り合って、ゆっくり歩き出す。


「今日は、楽しかったねぇ?」

翠は、ポンッと優しく拓海の頭に手を置いた。


「うんっ!鬼ごっこのとき、パパが追いかけてきて怖かったぁ~!」

「ははっ!マジか?」

「パパは、足速いもんねっ!…そうだ!夕飯は、何食べたい?」

「夕飯かぁ~、どうせだし…このまま何処かで食べていくか?」

「…そうだねぇ、拓海はどうしたい?」


「…僕は、コロッケが食べたいっ!」


「…コロッケ?」
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