雨あがりの空に
翠の優しい笑みに、拓海は少し照れて頬を赤らめていた。


「…あっ!ママ!僕ね、ママに渡すものがあるんだっ!」


拓海は、そう言うと…引き出しの中から何やら取り出してきた。


それを咄嗟に、後ろに隠すと、翠の前でニコニコ笑いながら…ハイッ!と言った。


「これ、なぁに?」

「これは、お守りだよっ!」

「…お守り?」

小さな布の小包のようなものが、翠の手のひらに置かれていた。


「うんっ!ママ、中を見てみて?」


翠は、お守りの中に小さく折りたたんである紙を出した。

俺も、横から覗き込んだ。



紙には…。


仲の良い三人の親子が書かれていて、その上には【ママのびょうきがなおりますように】

と書いてあった。


「この右の人がパパで、こっちがママ、それで真ん中が僕。ママの病気が治るようにお願いしたんだぁ!きっと治るよっ!僕がしっかりお願いしといたから、ママは元気になるよっ!」


「……拓海…」


「だからずっと一緒にいようねっ!パパとママと僕、三人で!」


翠は、拓海を優しく抱き寄せた。


「…拓海、ありがとう…ママ頑張るから。早く元気になるからね?拓海がくれた、このお守りずっと大切にするからね…」


「うんっ!約束だよっ!」


「うん、約束…」


翠と拓海は、指きりをした。
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