雨あがりの空に
第三章
最後の言葉
翠は、辛い闘病生活に、日々のように耐えていた。
でも…決して俺の前では弱音を吐くことはなかった。いつだって笑っていて、俺に元気な姿を見せてくれる。
でも…俺は知ってる。翠が、俺に気を使って明るく振舞っていることを…。
翠のそんな姿を見ていると、心が張り裂けそうになる。
余命から、あっという間に三ヶ月が過ぎた。
ここまでの日々は、長いようで短かった。
翠には、もう自力で起き上がる力さえ残っていなくて、酸素マスクが欠かせない毎日だ。
今日も酸素の量が増えた。5リットルだ。
「…翠?どっか辛いとこないか?大丈夫か?」
「……だい、じょぶ…」
途切れ途切れに話しながらも、笑顔で話す翠。
その姿に、また心が痛んだ。
「今日は、夜空が綺麗だな。きっと明日は晴れだな!」
なっ?…と翠に微笑みかけた。
翠は、小さく微笑んで頷いた。
「…じゃあ、家で拓海が待ってるから、そろそろ行くな?」
どこか名残惜しい気持ちを押さえて、俺は翠に言った。
すると、翠は…俺の服の袖を、もうほとんど残ってない力で掴んだ。
「…また…明日も…来て、くれる?」
弱々しい声で、そう言った。
「…来るよ。明日は、仕事が休みだから朝一で来るから!」
「…う、ん…待ってる…」
ゆっくりと離れる手が、スローモーションに見えた。
まるで…翠がどこか遠くに行ってしまいそうな気がした。
そんな…気がしたんだ。
でも…決して俺の前では弱音を吐くことはなかった。いつだって笑っていて、俺に元気な姿を見せてくれる。
でも…俺は知ってる。翠が、俺に気を使って明るく振舞っていることを…。
翠のそんな姿を見ていると、心が張り裂けそうになる。
余命から、あっという間に三ヶ月が過ぎた。
ここまでの日々は、長いようで短かった。
翠には、もう自力で起き上がる力さえ残っていなくて、酸素マスクが欠かせない毎日だ。
今日も酸素の量が増えた。5リットルだ。
「…翠?どっか辛いとこないか?大丈夫か?」
「……だい、じょぶ…」
途切れ途切れに話しながらも、笑顔で話す翠。
その姿に、また心が痛んだ。
「今日は、夜空が綺麗だな。きっと明日は晴れだな!」
なっ?…と翠に微笑みかけた。
翠は、小さく微笑んで頷いた。
「…じゃあ、家で拓海が待ってるから、そろそろ行くな?」
どこか名残惜しい気持ちを押さえて、俺は翠に言った。
すると、翠は…俺の服の袖を、もうほとんど残ってない力で掴んだ。
「…また…明日も…来て、くれる?」
弱々しい声で、そう言った。
「…来るよ。明日は、仕事が休みだから朝一で来るから!」
「…う、ん…待ってる…」
ゆっくりと離れる手が、スローモーションに見えた。
まるで…翠がどこか遠くに行ってしまいそうな気がした。
そんな…気がしたんだ。