雨あがりの空に
葬儀の帰り。


俺と拓海は、二人で手を繋いで帰った。


「……もし…ママが居たら…三人で手を繋いでいたのにな……」


拓海は、ポカンと空いた右隣を寂しく見つめた。


「……拓海…」

「…ねぇ、パパ…」

「…ん?」


「……ママの病院に行こう?」

「…病院?」


「…うん。僕…約束をちゃんと守りたい」

「約束?」


「…うん。ママとの大切な約束があるんだ」



「………じゃあ、行こうか…」



俺と拓海は、翠が入院していた病院に向かった。
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