雨あがりの空に
「…パパ、こっちだよ」

「…え?病院の中じゃないのか?」


「…ううん。違うよ…こっち」


拓海は、俺の手を引いた。



「……ここは?」



連れてこられた場所は、小さな公園だった。


花がたくさん咲いていて…噴水が太陽に反射してキラキラと輝いていた。


「…こんなところ…パパ、初めて来たよ…」

「ママと僕の秘密の場所なんだ」


そう言うと、拓海は…花畑の中を進んで、何かを探し始めた。


「…拓海?」

「…僕、ママと一緒に箱を埋めたんだ」

「…箱?」


「うん!…ママがね、言ってたの。…もしママが居なくなったらパパとここに来て、箱を取りに来てねって。僕、ママとの約束はちゃんと守る!」


「…箱って何が入ってるんだ?」

「僕も分からない。ママに聞いても教えてもらえなかったんだ」


拓海は、必死になって土を掘っていた。


「…ここに埋めたのに…」

「…拓海、本当にあるのか?」


「…絶対にあるよ……あっ!……これだ…」

「見つかったか!?」

「うん!」


拓也は、ニカッと笑いながら、大きな缶の箱を取り出した。

「…こんな大きい箱を、いつのまに埋めたんだな…」
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