茜色
 なぜ、好きかと聞かれると困るが、


 幼少のころからずっと同じ時間をすごして来たために、


 俺は、いずみのふんわりとした笑顔、
 
 
 必死に泣いていることを隠そうとしてグシャグシャになる泣き顔、


 頬を膨らませるどこかかわいい怒った顔といった、


 喜怒哀楽を表現する仕草や考え事をしていると左手の人差し指を唇に当てるちょっとした癖などを毎日のように見てきた。


 それこそ、兄妹のように。厳密に言えば、年が同じなのだから兄妹というよりは双子の方があっているのかもしれないが。
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