茜色
「ねえ、夕日が川面に反射して光り輝いてるね……」

 ぽつりといずみが呟いた。

 これが俺に向けた言葉でもましてや他の誰かに言った言葉でもないというのが、手に取るようにわかる。

 それがうれしく思う反面、もしかしたら違うんじゃないか。

 本当はいずみの事が何も解っていないんじゃないかと思い怖くなる。

「ああ、綺麗だな……」

 俺も誰に向けるでもなく、ポツリと呟く。
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