光の旅人
食事が終わり、お風呂に入った後、私は夜の港町を散歩することにしました。
まあ、なんて賑やかなんでしょう。
路上に様々なミュージシャンたちが歌を歌い、ギターを鳴らし、酒場の奥からは、バンドたちの生き様が音になって溢れてきます。街ゆく人々は、それぞれにお気に入りのお酒を持ち、気持ちよさそうに往来を歩きます。
音楽を聴いている人も、プレイしている人も、とても幸せそうです。

「オーロラの光あれ!」

高らかに、その声は響きます。

人の波をくぐり抜け、噴水の前のベンチに腰掛けました。

ミュージシャンたち、リスナーたち、そして音楽とこの街を見守るように、オーロラは優しく光り、たなびきます。平和で、能天気で、ただただ愛おしい光景でした。




私は、考えています。私には、何ができるのだろうと。
どこに行けば、私は必要とされるのだろう、と。


もの思いにふけっている頃、街の喧噪の中、不思議な、優しい唄が聞こえてきました。

ひとりの少年が、唄を歌っていました。ギターを片手に。

気づいたら、彼の前で、彼の唄を聴いていました。


私と彼は、出会いました。
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