光の旅人

ある人は、目を患っていました。
原因は分かりません。

その方は、画家でした。




そこは、山あいにある小さな集落です。山に囲まれていて、春にはたくさんの山菜が穫れるんだそうです。様々な種類の動物も住んでいました。
人間と動物たちは、狩り、狩られるの関係にありつつも、互いの領土を守りながら、互いに干渉せず、うまく共存していました。


そんな自然豊かな集落に、才能豊かな画家さんが住んでいました。その土地の陽射しのように暖かな、その土地の緑のように活き活きとした絵を描く方でした。


私がその方と出会ったのは、私が10歳の頃です。12ヶ月目に入り、そろそろ旅の小休止が近づいていたころです。

季節は夏。緑が青々と輝いていました。
集落の長の方と話し、屋根は貸してやれないが、集落の中にテントを張って一泊するのは構わないとのことだったので、私たちは早速テントを張る準備をしました。
最初、この長の方は体が大きくて、いかめしくて、怖い人だなあ、と思っていたのですが


「あぁ、そうそう、今日は宴にします。是非酒の肴に、皆さんの話を聞かせてください。代わりに、旨い酒と料理を出しましょう。」

にっ、と笑って、その方は言いました。
いっぺんに、ここが好きになりました。
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