光の旅人

中央通りを抜け、小さくてみすぼらしいレストランを右に行くと、少し急な坂道がある。その道は両側から、誰にも手入れされなくなった木々たちが、その枝を伸ばしたいだけ伸ばしていて、昼でも少し薄暗い。その坂道を登りきったら、右手に大きくて古い屋敷がある。門のところに大きく、「ジャン クロード孤児院」と看板がかかっている。あんまりにも気味が悪いんで、近所の子供たちからはお化け屋敷と評判だ。

僕はそのお化け屋敷で育った。

中には、15人の子供たちと5人の職員、そしてここの院長、ジャン クロードが寝泊まりしている。そのジャンさんが大柄でひげもじゃ、おまけに本人お気に入りのポンチョを毎日着込んでいるので、夜に見たら本当にお化けか何かと見間違えるだろう。そして彼は毎晩、パトロールと称して散歩に出かけてしまうので、「お化け屋敷」の噂に拍車がかかる一方だ。



「私の可愛い子供たちや」

朝は必ず、院長のこの言葉から始まる。
「今日はなんと素晴らしい日だろうか。無事に、誰も欠けることなく、ここで皆に会えたのだから。

さぁ、今朝も祈りを捧げよう。クルド、よろしく頼むよ。」


一番年長者である僕は(といってもまだ17歳だけど)、朝の祈りの詠唱という[ありがたい]役目を与えられている。長ったらしい上にまったく意味が分からない言葉の羅列を、できるだけ厳かに、ゆっくりと読むことが僕の役目だ。そうすれば院長と職員の皆様は満足するし、子供たちは少しの間、今朝の夢の続きを見ることができる。


「うむ、なんと美しい言葉か。さぁ、今日も気持ちよく掃除をしよう!皆、道具を持ちなさい」

院長のこの言葉で、ようやくこの儀式から解放される。僕たちは部屋から掃除用具を持ってきて、自分の部屋と食堂、階段、廊下を掃き始める。


僕が階段を箒で掃いていると、一番年の近いカリムが声をかけてきた。

「なぁクルド、仕事は見つかったのかい?」

僕は一週間後、ここを出る予定になっている。規則で18歳になったらこの施設を出るか、職員としてここで働くか選ばなくてはいけないのだ。

「ん?まぁ、何とかな。住み込みでレストランの給仕をやることになりそうだ。」

「そうか、じゃここには残らないんだね。寂しいな。」

「なに、ここから近いから、来ようと思えばすぐここへ来れるさ。」

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