光の旅人
僕らの新しい『格子』仲間は、怪我が治って活動できるようになると、その人間性の魅力を発揮していった。彼は社交的な上にとても話し上手で、彼は人と話すときはいつも笑顔で、楽しそうに話す。一緒にいると、こちらまで楽しい気分になるのだ。さらには、人の話を聞くのも上手かった。相手の言いたいことを手早く汲み取り、さりげなく相手の欲しい答えを提示することで、会話を円滑に進めることができた。この孤児院には、人とのコミュニケーションがうまく取れない子も少々いるのだが(その多くが、過去に対人関係でトラウマを負わされている)、彼はそんな子等とも非常に仲良く接していた。



ただ彼は、少しだけみんなと違っていた。



彼は、夢を多く語る。

そこだけは、皆の共感を得られなかった。



絶望感を拭うのは、容易なことではない。

皆、何らかの良くない事情があって、この施設へ来る。何も分からないうちに放り出されて、路上で年を重ね、ものを考える年齢になるころには


この世界は、暗い。



その暗がりに目が慣れてしまった者には、カリムの語る夢はあまりにも眩しすぎたのだ。


でも僕は、彼の語る夢が好きだった。


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