光の旅人
1
海は、この世界をひとつなぎにしているらしいです。
海はぐるっと世界を一周しているので、ここで私が見ている海と、ずっと遠くで誰かが見ている海は、同じものなんだそうです。とても大きな話で、想像するのに一苦労しましたが、すごく素敵な話だと思いました。
私が旅の途中で、ぼうっと海を眺めている時、どこかで、誰かとつながっているのかもしれない、途方もない話のようで、でも意外と身近なことなんじゃないかって思います。
今私たちは、海岸線を歩いています。太陽の日差しが砂浜に反射して眩しいです。汗が頬を垂れていきました。たまに海から吹き抜けてくる風が、心地よいです。
出発の日から5日歩いて、海に出ました。それから2日間、海岸を歩き続けました。途中いくつか港町を通りました。オーロラの光が照らす道の途中に、街がいくつかあったりするのですが、オーロラに街が照らされると、街全体をあげてお祭りになるのだそうです。オーロラに照らされた街は、その後に繁栄と豊穣が待っているとかで、街によっては、住民が一晩中歌って踊り続けるところもあるらしいです。そういった方々の街で、私たちは「光の旅人」と呼ばれ、幸運をもたらしてくれる存在として、手厚い歓迎をしてくれます。
そして今、正面に小さな港町が見えました。
「今夜はあそこに泊めてもらうそうだよ。」
お父さんが言いました。
気づけば、もう日が傾いていました。あと二時間もしたら、あたりはオレンジ色に染まって、太陽が海の向こう側へ沈んでいくでしょう。今日はよく晴れています。オレンジ色も、沈んでいく夕陽も、とてもきれいに見えることでしょう。
太陽が沈む、あの場所には、何があるのでしょう。
「お父さん、海の向こうへ行ったことある?」
「船でかい?無いねぇ。オーロラは海を照らさないからね。」
「そうなの?どうして?」
「想像してごらん?夜の海に、オーロラが写るだろう。そうすると、上と下にオーロラがあるみたいに見えて、どちらが正しい道か分からなくなってしまうんだ。それは困るだろう?」
「…嘘。そんな子供騙しみたいなこと言って。」
「ははは。嘘じゃないさ。まぁとにかく、理由はどうあれ、オーロラが海を照らしたことは無いよ。」
「ふうん。」
海は、静かに波打っています。気づけば、街までもうすぐです。
空に広がり始めたオレンジ色に紛れて、小さな白い雲が流れていきました。
海はぐるっと世界を一周しているので、ここで私が見ている海と、ずっと遠くで誰かが見ている海は、同じものなんだそうです。とても大きな話で、想像するのに一苦労しましたが、すごく素敵な話だと思いました。
私が旅の途中で、ぼうっと海を眺めている時、どこかで、誰かとつながっているのかもしれない、途方もない話のようで、でも意外と身近なことなんじゃないかって思います。
今私たちは、海岸線を歩いています。太陽の日差しが砂浜に反射して眩しいです。汗が頬を垂れていきました。たまに海から吹き抜けてくる風が、心地よいです。
出発の日から5日歩いて、海に出ました。それから2日間、海岸を歩き続けました。途中いくつか港町を通りました。オーロラの光が照らす道の途中に、街がいくつかあったりするのですが、オーロラに街が照らされると、街全体をあげてお祭りになるのだそうです。オーロラに照らされた街は、その後に繁栄と豊穣が待っているとかで、街によっては、住民が一晩中歌って踊り続けるところもあるらしいです。そういった方々の街で、私たちは「光の旅人」と呼ばれ、幸運をもたらしてくれる存在として、手厚い歓迎をしてくれます。
そして今、正面に小さな港町が見えました。
「今夜はあそこに泊めてもらうそうだよ。」
お父さんが言いました。
気づけば、もう日が傾いていました。あと二時間もしたら、あたりはオレンジ色に染まって、太陽が海の向こう側へ沈んでいくでしょう。今日はよく晴れています。オレンジ色も、沈んでいく夕陽も、とてもきれいに見えることでしょう。
太陽が沈む、あの場所には、何があるのでしょう。
「お父さん、海の向こうへ行ったことある?」
「船でかい?無いねぇ。オーロラは海を照らさないからね。」
「そうなの?どうして?」
「想像してごらん?夜の海に、オーロラが写るだろう。そうすると、上と下にオーロラがあるみたいに見えて、どちらが正しい道か分からなくなってしまうんだ。それは困るだろう?」
「…嘘。そんな子供騙しみたいなこと言って。」
「ははは。嘘じゃないさ。まぁとにかく、理由はどうあれ、オーロラが海を照らしたことは無いよ。」
「ふうん。」
海は、静かに波打っています。気づけば、街までもうすぐです。
空に広がり始めたオレンジ色に紛れて、小さな白い雲が流れていきました。