光の旅人
「わぁ、素敵な部屋。」

ホテルの一室に通された私は、思わず声をあげました。


住民たちの熱烈な歓迎を受けた後、町長さんに案内され、私たちは街一番のホテルに案内されました。私たち一族は今三十数名いるのですが、1人一部屋あてがっても十分余るくらい、大きなところでした。部屋は派手すぎるところがなく、こざっぱりとしていて、白を基調とした部屋に、カーテンとカーペットのネイビーがよく映えます。
何よりすばらしいのは、海辺のすぐ近く、海を背に造られているところです。つまり、部屋の窓から海が一望できるのでした。

「すごい!お父さん、見て!」

窓から覗くと、オレンジでいっぱいになった空と、そのオレンジをきらきらと反射している海がとてもよく見えました。

「うわあ。きれいだね。」

お父さんも思わず感嘆の声をあげます。

窓を開けると、街から音楽が聞こえてきました。しばらく眺めているうちに、太陽が沈んでいく頃合いになりました。サックスのソリが夜を告げました。
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