Hello! My Sunshine!!

片想い

『えーっと…俺は3年の橘奏。一応この青海高校吹奏楽部の部長を務めている。担当楽器はパーカッション。
で、こいつは高野敦。副部長兼俺の親友。A.Sax担当。
分からない事があれば何でも聞いてくれ。』

敦は奏の隣で
ちょこっと頭をさげた。

『えーそれから、2.3年生は勿論知ってると思うが、2ヶ月後には県コンクールがある!そして次は待ちに待った全国大会がある!今年こそは金賞がとれるよう気を抜かず練習に励んでくれ!』


……ガタッ…ドンッ!

『お!奏ちゃん!
なんだよ…おいおい…
いつもと全く違うじゃんよ。
1年の前だからって格好付けやがって!』

突然部室のドアが勢いよく開き、まるで臨月の妊婦のような腹を擦りながらゴッドが入ってきた。


ゴッドは我が吹奏楽部の顧問。
練習中は、まるで鬼か悪魔がとり憑いたのかと思う程恐ろしいが、普段は人が変わったように、なぜか穏やかになり、部員達に神のように崇められ、慕われている。


『ちょっと先生!今自分は最高に格好良い男になってるんだから、変な突っ込みは止めて下さいよ!』

そう言って
奏はバツが悪るそうに自分の席に戻った。

『プッ…クックックッ…!』

奏の後方から誰かの笑い声が聞こえてきた。

『チッ…
誰だよ。』

後ろを振り返ると、1番後ろの席で顔を真っ赤に紅潮させ肩を震わせながら必死で笑いを堪えようとしている子がいた。

あの子だった。


新田藍

目鼻だちのはっきりした子で、少し明るめの艶やかな長い髪が印象的だ。

俺の視線に気が付いた新田藍は、
『何か凄い楽しそう。橘さんって面白い人ですね!』

と嬉しそうに答えた。

『そ…そうかな?』
《ヤバい!!マジで可愛い。》

俺は心臓発作を起こしそうな程胸が苦しくなった。
思わず、顔がにやけそうになるのを必死で堪えた。


***


『あ〜今日も疲れた。腕死んでる。』

『奏は、力入れ過ぎなんだよ!もう少し肩の力抜いてやれば?』

『そうだよな。いや〜やっぱ部長は疲れるわ。まぁ無事歓迎会も終わったことだし…。』

『ドンマイ!奏ちゃん!
じゃ またな!』

『敦帰るの?』

『これからデイト!奏ちゃんも早く彼女作りなさい!』

『うるせ〜よ!』

俺の唯一の親友である敦は、只今禁止されているはずの部内恋愛中だ。相手の子はクラリネット担当の涼ちゃん。何気にもう1年も続いている。あいつら結婚するのかな?
あーあ。俺も恋愛したいなぁ〜。あの子、きっと彼氏いるんだろうな…。てか、楽器何にするんだろう?同じだと良いのに。明日聞いてみよ!

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