軋む助手席
その時、窓硝子が光り、そのすぐ後に大きな雷音が鳴り響いた。


「きゃっ」


思わず室長の胸に顔を寄せ、スーツジャケットを握りしめていた。


ふわりと香水の匂いが鼻腔を掠める。


雷音が止み、冷静さを取り戻すと、なんてことをしてしまったんだと青ざめた。


「ごめんなさい!」


慌てて室長から離れようと背中を仰け反ると、室長は片手で私の肩を掴み、室長の胸に私の身体を引き寄せた。



「……室長?」
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