森の守り姫
金持ちばかりが集まるこの学校に通う私は、なぜか“姫”と呼ばれていた。
宮本捺貴。高校2年生。
別にどこにでもいる普通の高校生だと思っているのだが、みんなからは全否定されてしまった。
友達曰く、容姿端麗、成績優秀。
性格よし、運動神経よし。
なにをとっても完璧で、男子からも女子からも好かれ、尊敬され、たちまちついたあだ名が《姫》だった。…らしい。
一体全体どこのどいつが最初に“姫”なんてあだ名を考え付いたのだろうか。
結果、先輩や先生にまで姫と呼ばれている始末だ。
おかげで私は1年以上暮らしていても、未だ名前で呼ばれたことがない。