ガオ!!
噛んじゃうぞ!
気が付いた時には私の世界はゆらゆら揺れてい
た。
目を開ければ、そこは薄暗い住宅街。
そして私は誰かの背中におぶられていた。
あぁ、私会社の飲み会で酔い潰れたんだっけ。
この背中はいつもの彼の背中に違いない。
だってこの襟足を見ればわかる。
「ごめーん」
「あ、起きたか」
「うん。ごめーん。また飲み過ぎたー」
「お前は止め時ってもんを学習しろよ」
そう私を怒るのは高校で同級生だった、今では同僚の彼。
家が近いからという理由で毎回会社の皆に私を押し付けられて、嫌々こうしておぶって家まで送ってくれる。
そんな彼を私は密かに好きだったりする。
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