卓上彼氏
「今日はホントありがとな、ゆりがあんなに楽しそうなの久しぶりに見たわ」
「ホント?良かった。私も楽しかったし、こちらこそありがと!」
シャーッという自転車の音が心地よい。
11月の涼しげな風が私たちの間を流れた。
私はまた、藤堂くんの上着の端っこを掴んで二人乗りしていた。
「てかごめんね!午後ほとんど私ら二人で楽しんでたよね」
アニメDVD鑑賞会を目撃したときの藤堂くんの表情を思い出して苦笑いした。
「ほんとだよなー!まじ俺だけなんかハブな感じだったし!」
藤堂くんはわざと怒りっぽい口調で笑ってみせた。
「ははははははっ!」
そんなこんな私たちは他愛もない話をしながら駅に着いた。