卓上彼氏
観念したように私は足を止めた。
「ん?」
いっぱいいっぱいで、この一言を絞り出すのも限界だった。
「平気か?」
「————うん」
私は笑顔を取り繕った。
「———仕方ないよ、急用だもん。元々今年は一人で過ごす予定だったし、また元に戻っただけだから………」
顔は笑っているはずなのに、涙がポロ、ポロ、と零れ落ちてくるのがわかった。
「あれ……?…あれ?………おかしいなぁ………何で私泣いてるのよ……」
手の甲で拭っても拭っても、涙はどんどん溢れてくる。
「………ごめん…なんか………変だね…ホント………どうし……」
『どうしたんだろう』、そう言おうとした瞬間に、張り詰めていた何かがプツンと切れた音がした。
「……ぐすっ………うわああぁぁぁああぁぁぁん」
ヨクが目の前にいるのも構わずに、彼の影が涙でぼやけるくらいいっぱいに泣いた。