卓上彼氏
今日のヨクはまた、一段とかっこ良かった。
アシンメトリーに右側の髪の毛がピンで留められていて、髪は全体的にワックスで整えてあった。
服装は前回のラフな感じに代わってフォーマルな感じ。
ワインレッドの質の良さそうなワイシャツに、黒のネクタイ、黒のジャケット。
金のネクタイピンは輝きを放ち、胸ポケットの純白なスカーフが上品さを醸し出していた。
いかにも財閥の跡取り息子といった風貌だ。
「お待たせ――――こんな感じでどうかな?」
ヨクは白い歯を見せて笑った。
「ざ……財閥の後継者みたい」
「えっ、嫌だ??」
「そうじゃなくて………似合い過ぎててかっこ良すぎるってことです!!」
私は恥ずかしくてキュッと目をつむって叫んだ。
「ありがとう。みかみも、お嬢様みたいだよ」
彼はゆらぐことない真っすぐな視線を私に送った。
どうやったらこんな、と思うほどの美しい笑みをする。
―――――今日もすっかりヨクのペースだ。
「あ、ありがとう」
ヨクに出会ってから毎日のようにこんな言葉を浴びせられているのに、いまだに慣れない程にヨクは妖艶だった。
「それじゃあ参りましょうかお嬢様」
ヨクは私の手をとるように手を差し出した。
「よろしくお願いします」
なんだか少し恥ずかしくって照れ笑いをしながら、その手に乗せるように私は画面に手をあてた。