卓上彼氏
「花園ォ!」
「へっ?はいっ!」
私はビクッと体を縮めた。
「これ、化学の俺らの班のレポート」
私の席の斜め後ろから、藤堂くんがレポートの束を差し出した。
「あ、ありがと」
藤堂くんの家に遊びに行ったあの日から、私は藤堂くんに対して不思議な感情を抱くようになっていた。
まともに目を合わせられないし、そのくせ気付くと目で追っている。
遠くで藤堂くんの声がするとドキドキするし、話し掛けられるとなんて返事したらいいかわからなくなる。
「どうした?」
「や……別にっ、なんでもないっ…」
私はパッとレポートを受け取ると、彼の視線を避けるように前を向いた。