卓上彼氏


昼休み、教室で友達とお弁当を食べていたらメールが届いた。





『一通の新着メッセージがあります』




ケータイのテロップには、『藤堂一馬』と表示されていた。





なんだろ、この距離で。




藤堂くんは教室の隅で男子生徒たちと戯れていた。





私は藤堂くんからのメールを開いた。





『今ちょっといい?廊下来て』






はっとして私が顔をあげると、藤堂くんと目が合った。





藤堂くんは周りにはバレない程度に軽く頷くと、先に廊下へ出ていった。





ドキン。






なんだろう。




妙に胸が高鳴る。





やだ、なんでこんなに緊張してんの私。




期待してる?


何を?





混乱する思考を払拭するように私は勢いよく立ち上がった。






「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる!」





そんなに勢いよく宣言しなくても、と、いつめんは笑っていた。



< 197 / 221 >

この作品をシェア

pagetop