卓上彼氏
昼休み、教室で友達とお弁当を食べていたらメールが届いた。
『一通の新着メッセージがあります』
ケータイのテロップには、『藤堂一馬』と表示されていた。
なんだろ、この距離で。
藤堂くんは教室の隅で男子生徒たちと戯れていた。
私は藤堂くんからのメールを開いた。
『今ちょっといい?廊下来て』
はっとして私が顔をあげると、藤堂くんと目が合った。
藤堂くんは周りにはバレない程度に軽く頷くと、先に廊下へ出ていった。
ドキン。
なんだろう。
妙に胸が高鳴る。
やだ、なんでこんなに緊張してんの私。
期待してる?
何を?
混乱する思考を払拭するように私は勢いよく立ち上がった。
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる!」
そんなに勢いよく宣言しなくても、と、いつめんは笑っていた。