卓上彼氏
―――――私寝ぼけてるのか。
そう思って目をこすり、ベッドから這い出ると、今度はパッと勝手に画面が切り替わって青年の肩から上がアップになり、「気づいてよ!」と言わんばかりの切なげな目を向けてきた。
「ねぇ、おはようってば!」
確かに、しっかりと青年の口が動くのを見た。
「へっ?は?!え??!はい?!!?」
何がなんだかわからなくて私はディスプレイに飛びつく。
「わぉ、ははは、超驚いてる」
向こうから私が見えているのか、彼は私を指差して笑った。
「えっ何で?!どういうこと?!は?!しゃべった……」
普通のアニメみたいに、いやそれ以上に自由に動いていた。
「俺を作ってくれてありがとう、みかみ」
悔しいけど彼は私がイメージしていた通りのとても良い声をしていた。
冷静になれ、冷静になれ、、、
「ああ、夢か」
私はポンと手を叩き、納得したように頷いて再びベッドへ足を入れた。
「夢じゃないってみかみぃ。学校遅刻するよ~?」
青年はとびきりの笑顔でこちらに手を振っている。
――――――くそぅ、やっぱイケメンだ。
あまりのこのリアリティーに、さすがに夢じゃないなとは思い始めた。
でも、だったらこれは何?
自分の描いたキャラクターが勝手に動き出す、なんてそんなファンタジーみたいなことあるわけないじゃない。
「花園みかみ十五歳、誕生日は11月28日でAB型、身長は162センチメートルで体重は………」
「ストップストップストーーーップ!!ちょっと待った!!!」
体重を言われる前に止めた。
「なんでそんなに私の個人情報知ってるの?!」
青年はキョトンとした顔をするとまんざらでも無いようにこう答えた。
「俺電子機器の中自由に移動できるからね」
「へ?!」
「個人情報とかはケータイの登録から見させてもらったよ。別に世間的に流出してるわけじゃないから大丈夫」
いやそう言われましても…。
とりあえずこれは現実なんだ。
なら、きっと受け容れなきゃいけない。
摩訶不思議なことだってきっと起こる。
だったらどうしてこうなったかを真剣に考えていこう。