卓上彼氏
「そうだ、そういえば俺の誕生日っていつ?」
「誕生日…?え…あぁ、そういえば考えてなかったよね…」
唐突に話を変えられて少しムッとした。
今はそんな話してる場合じゃないのに………。
私が黙ると、ヨクは私が彼の誕生日を考えていると思ったのだろう、何も言わずニコニコと笑っていた。
その沈黙の間、私は思い出していた。
誕生日にもらった、ヨクからのたくさんの幸せを。
私だけ祝ってもらうのは悪いから、話が変わるのは希に食わないが誕生日をなんとか決めようと思った。
「みかみと出会った日は記念日にしたいから、誕生日は別の日がいいなぁ…♪」
く、それとなく要望を伝えてくるやつめ。
ヨクの可愛らしい上目遣いにドキドキしながら、私は必死にいつがいいか考えた。
漫画のキャラクターの誕生日を決める時のように、ヨクに合った日にちを考える。
「ヨクはどう考えたって十二月ってイメージなんだよなぁ~っ、ただ、何日かが……」
「じゃあ今日!今日を俺の誕生日にしてよ!!」
ヨクは身を乗り出すように私に顔を近づけた。
「えぇっ、今日?!そんな適当でいいの~?!?!しかももうあとちょっとで終わっちゃうじゃん!!何も祝えてない!!」
「いいのいいの。それがいいから。みかみに変な気をつかわせたくないしね。はいっ、今日が俺の誕生日ね、決定ー!パチパチ」
ヨクは満面の笑みで手をたたいた。
私はなんだか狐に化かされたような気になった。