卓上彼氏
そこで、私はあることを思いついた。
「ねぇ、ヨクちょっと目、つぶってて」
「えっ…そんな/////」
「違うから」
照れるようなそぶりを見せたヨクをすぐに制して、私はヨクが目をつぶったのを確認するとタッチペンを手にとった。
デジタルイラストの機械を使って、ヨクのいる画面の中にスラスラとあるものを描きあげていく。
色もしっかり使って、なるべく本物のように。
それはものの数分で完成した。
「はいっ、完成!目ぇ開けて!」
私に言われた通りにしたヨクは、感嘆の声をもらした。
「すごいっ……指輪だ!!」
私は、ヨクが私の誕生日にくれた指輪のペアリングを描き込んだのだった。
「突然だったから……こんなんでごめんね、お誕生日おめでとう」
私はなんだか申し訳なくって困ったように笑った。
「やばい………////すっごい嬉しい………俺…みかみからなんか貰えるなんて思ってなかった………!!!…人から何か貰うのも初めてだ………これ……、一生大切にするから!!!!」
予想外なまでのヨクの喜ぶ姿に、なんだか私まで嬉しくなった。
「こんな最高の彼女がいる二次元男子なんて、俺だけだな」
「私こそ、こんな最高の二次元彼氏のいる女子なんて、私だけだね」
可笑しさと嬉しさが混ざって、その夜はずっと二人で笑っていた。
──────良かった、ヨクが気に入ってくれて。
せっかくの誕生日だから、何か特別なことをしてあげたかったんだ。
ヨクの指にはまったその指輪は、ダイヤモンドにも勝る輝きをしていた。