卓上彼氏
藤堂くんとは、あれからいろんなことを話した。
部活の話、勉強の話、そして、私の趣味の話も────…。
いつだって彼は私のことを理解してくれようとしていた。
そこには、秋葉原文化を否定するような姿勢は見られなかった。
だからこそ、私も心を許して話すことができた。
私がヲタク以外の一般人に趣味を打ち明けるのは、初めてだったように思う。
私が思っていた以上に藤堂くんは思慮のある人で、思っていた以上に優しくて、思っていた以上に、心に傷を負っていた。
過去にあった彼女との悲しい思い出が、恋愛をトラウマにしていたのだった。
そんな彼が私に心を開いてくれていると感じたとき、私はとても嬉しかった。