卓上彼氏
そう呟いた瞬間に、何かが許された気がした。
緊張の糸が一気にほどけ、熱い思いが身体の中から込み上げた。
それが涙となって、ぽつり、ぽつりと零れていく。
私、藤堂くんが好きなんだ。
知らず知らずのうちに、恋してたんだ。
自分の中でその想いが確信に変わったこの瞬間、胸がキュッとしたような気がした。
いつから、なんて分からない。ただ、私が藤堂くんのことを好きだという事実は変わらなかった。
−−−−−−−ヨク…。
藤堂くんの顏に続いて、ヨクの顔が脳裏に浮かんだ。
私は、未だかつて無い罪悪感に苛まれた。
ヨクはあんなに私を愛してくれているのに……。
これじゃ、浮気みたいなものだ。
私は、ヨクに冷めたわけでも嫌いになったわけでもなかった。
もちろん、今までのヨクへの感情が勘違いだったとも思わない。
確かにあれは恋愛感情だった。
つまり私は今、同時に二人の男性に恋をしているというわけだ。
そんなことってホントにあるの?とか、人間として最低だな、とか思われても仕方ない。
事実、そうなのだから。
私にはどちらかを選ぶことなんて今はできなかった。頭が混乱して、冷静な判断をできそうにない。
どうしたらいいの?私、どうしたら…………。
ただ無言で泣き続ける私を、ヨクは隣でそっと見守っていてくれた。