卓上彼氏
私は部屋の鍵を開けた。
もう、ヨクに言うことは決めている。
今日のことと、そして私の気持ちをしっかり伝えよう。
強い意思をもって私はガチャリとドアを開けた。
いつものように、中のあかりはついている。
ただ、
いつもの『おかえり!』だけが無かった。
なんだか無性に不安になって、自室のパソコンの前まで走った。
その画面は、ただ白く光っていた。
「ヨク……ヨク?」
私の呼びかけに応じるように、画面に黒い明朝体が浮かび上がってきた。
『おかえりみかみ。
ちゃんと待ってあげられなくてごめんな。
でも、もうみかみには待っててくれる人ができたから。
それは俺じゃない。
俺は、みかみに三次元で幸せな恋ができた事を嬉しく思います。
少しさみしいけど、これが最高の形だと思うから。
俺は二次元だから、いつまでもみかみの側にいるわけにはいかなかった。
正直、みかみには新しい恋をしてほしかったんだ。
みかみを守ってくれる人ができたから、俺は消えます。
いつまでも俺がいたら、みかみはきっと新しい一歩を踏み出せない。
俺が今までみかみと過ごしてきたたくさんの思い出とか、伝えたい思いとか、
文章で書き表せる気がしないから、かわりに俺の描いてた漫画を見て下さい。
俺、なんだかんだみかみのオーディション用にちゃんと漫画描いてたんだよ?
偉いだろ?
ただ、俺目線で描くしかなかったから、あとで少しみかみの感情とかも描き加えて、みかみの手で完成させてほしいな。
それから、タイトルもみかみに決めてほしい。
じゃあ、ホントにこれで最後。
ホントはもっとずっと一緒にいたかったけど…。
みかみ、
愛してる』