卓上彼氏
第二画面
ドキドキのデート!
キーンコーンカーンコーン。
高校が前方に見えてきた時、一時間目開始のチャイムが鳴った。
あぁ、HR(ホームルーム)どころか授業まで完全に遅刻だよ。
もうどうせ遅刻ならいいや、と私の歩行速度は減速した。
ガラガラガラッ。
教室の後ろのドアから入る。
クラスメイトの視線が一気に私に集まった。
もちろん、藤堂くんも。
藤堂くんと目が合った瞬間、私はぷいっとそっぽを向いた。
それと同時に、ハッとした。
このみんなの視線は、もしかして私への非難の視線なんじゃないか。
朝いろんなことがありすぎてすっかり忘れていたけれど、クラスメイトに藤堂くんがもう私がヲタクだということを広めてしまっているかもしれないのだ。
どうしよう、もう広められていたら。
急に胸の鼓動が速くなる。
―――――せっかく隠してたのに、また中学の最初に戻っちゃうのかな。
不安ではち切れそうなのを顔に出さないよう、必死で平然を装って着席した。
「おーい花園、遅刻したんならなんかしら報告来なさい、なんで遅れた?」
数式を板書していた数学の先生がチョークを置く。
えっと………どうしよう。
朝起きたら画面に新しい彼氏がいてその対応で遅れました、なんていよいよ気が狂ったようなことは口が裂けても言えない。
「―――寝坊しました」
少し間は空いたものの、無難な返答をしておいた。