卓上彼氏
「でもヨク漫画とか描けるの??それに絵のタッチが私と違ったら怪しまれるよ」
もしオーディションにその作品が受かったとして、作者がそのイラストを描けなかったら大問題だ。
「今描いてるの見せるからちょっと待ってて……」
そう言うとヨクは画面から一旦消えた。
モニターがパッと切り替わり、私のデジタルイラストのソフトが勝手に起動したかと思うと、ディスプレイいっぱいにモノクロの漫画が現れた。
「わっ………すごい!!」
それはまるで私が描いたんじゃないかというくらい私のタッチにそっくりで、トーンとかもちゃんと入れられていてしっかりした申し分の無い漫画になっていた。
「みかみの絵にそっくりだろ?今までのパソコンにたまってたみかみのイラストのデータ掻き集めて統計出して、みかみが描いたらどうなるかを予測してその通りのタッチで描いてみた」
ヨクの声がパソコンに備え付けられたスピーカーから漏れる。
「ヨクすごいっ!これホントすごいよ!!私の絵そっくり!!!こんなことできるんだね!!」
私はただただ感心していた。
「ねぇっ、少し読んでもいい??」
私のヲタクレーダー発動。
漫画となれば読みたいです。
それに、ヨクはどんなストーリーを描くのかすごく気になっていた。
「いーけど、まだ三ページだよ?」
「構わない構わない♪ 」
そう言って私は内容に目を通した――……。