卓上彼氏
「俺らが丁度中二のとき、いきなりあいつアニメにハマりだして。父ちゃんも母ちゃんも俺も全くそっち方面に詳しくなかったから、正直戸惑った。どう扱ったらいいかわかんなくて」
藤堂くんは遥か遠くを見つめながら言った。
私は驚きすぎて、ただただ話をきくことしかできなかった。
「でも、それまで趣味とかなんもなかったあいつが没頭できるモノができて俺嬉しかった。それに、俺は好きではないけど、毎日二次元の良さを妹から聞くうちに、二次元も悪くないなって思うようになったんだ。だから、二次元のこと嫌いじゃない。花園のこと軽蔑したりもしてない。だって自分の妹が好きなモノだから」
「……だから、今まで花園に不快な思いさせてたんならごめん。俺そんなつもりなかったんだ。からかったりしようと思って声かけたわけじゃなくて、その、なんか花園の前だとついからかうような口調になっちゃうっていうか…」
藤堂くんは後ろ髪を掻いた。