卓上彼氏
私は自分のバレーボールを抱えたまま、藤堂くんがこちらへ歩いて来るのをじっと見ていた。
「独りで練習?」
バコン!
私の隣に並ぶと、彼はボールの壁打ちを始めた。
バシッ。
「まさか」
私も体を壁に向き直して一球打ち込んだ。
「じゃー…ストレス発散?」
なおも壁打ちをしたまま藤堂くんは尋ねた。
「近いけど違う」
私もまけじと壁打ちを続けた。
「じゃー悩み事?!」
ボールの音にかき消されない様にと藤堂くんは声を張り上げた。
その言葉が合図だったかのように、私は壁打ちをやめた。
「花園……なんかあった?」
藤堂くんも、壁打ちをやめた。