卓上彼氏
「じゃあさ、その人のことしか考えられなくなることってある?周りのこと考えられなくなるくらいに。例えば———…その人のためを思ってするばりに周りに迷惑かけちゃうとか」
私は藤堂くんを通してヨクの気持ちを知ろうとしていた。
藤堂くんの横顔に、ヨクを重ねる。
「……周りに迷惑かけてるかはわかんねーけど、その本人に嫌な思いさせちゃうことはある。空回りっつーか、良かれと思ってした言動がむしろ怒らせるっていうか……///」
藤堂くんはこちらをチラッと見たかと思うと、私と目が合った瞬間目を逸らした。
———…こんなに照れてる藤堂くん初めて見た。
相当好きなんだなぁ、その人のこと。
ズキン。
そのとき、不思議な感覚が胸を苦しめた。
…苦しい。ナニコレ。
「あーっ!藤堂みかみ襲ってるーっ!!」
そんな私の感情をかき消してくれるかのように友達が駆けて来た。