卓上彼氏
「んじゃ、行くぞっ」
藤堂くんはペダルを踏んだ。
その途端、自転車全体が揺れる。
「わっ!」
思わず私は藤堂くんの背中に抱きついた。
藤堂くんの広い背中が頬に触れる。
「…………!!!////」
心臓がバクバクして藤堂くんに聞こえそう!!!
私はぱっと両腕を離した。
「ごごごごごめん!!自転車が揺れたから…」
「……いーよそのまま掴まってて。これからも揺れるし」
藤堂くんは前を向いたまま自転車をこぎ続けた。
————なんだか今日の藤堂くん、大人っぽい。
調子狂うや。
今度は藤堂くんのパーカーの裾に掴まることにした。