記憶のキロク
 生まれる事すら許されなかった妹の名前

 本来なら、与えられるはずだった者の。

 妹になるはずだった存在の名前。

 本当なら、この少女と同じくらいの年齢のはず……

 だが、そんなのはただの幻想に過ぎない。

 俺の妹になるはずだった者への未練でしかない。

 そんなものをこの少女に、生きている命に押し付けていいわけが無い。

 たとえ、名前が同じであろうとも
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