記憶のキロク
 驚愕で、思考が乱れ出したのを半ば強引に納得させ

「俺は、静司だ。よろしくな、春風ちゃん」

 そう言って、俺は手を差し出した。
 
 きょとんとしていた春風ちゃんだったが、俺の顔と差し出した手を交互に見比べた後、手を握り返してきた。

 その手は、小さく、儚い印象があったが、それ以上にあたたかく、優しい手だった。
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