記憶のキロク
「ここは……」
「きゃっ」
 
 俺が呟いた途端、少女は十代前半特有のあどけなさが残る声で、
 
 これまた少女特有の驚き方をした。
 
 俺は何か驚かすような事をやったのだろうか? 

 「驚かして、ごめんなさい。起きたんだね、まってて。今、看護師さんを呼んで来るから」

 などといいながら、ぺこりとお辞儀をして、どこかへ、てけてけと走り去ってしまった。
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