記憶のキロク
 春風ちゃんは俺の言葉に、ふるふると首を横に振って否定した。

 その様子は、追い詰められた小動物のように必死に何かを堪えていた。

「ん? なんだ。そのあれだ……辛い事があったら誰でもいいから話せば少しは、楽になるから………俺でよければ、話を聞くよ」

「…………」

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