記憶のキロク
二日目
「おはよう。お兄ちゃん」

 なんて、言いながら春風ちゃんは、俺の体をゆさゆさと揺すり、夢の世界からの帰りを笑顔で迎えてくれた。

「ん? おはよう……もう朝か……」

 今日の春風ちゃんはやけにご機嫌だな。今日何かあるのか?

「春風ちゃん、今日は具合よさそうね」

「うん。お兄ちゃんに泣かされた後、優しく抱いてくれたから」

 看護士さんと春風ちゃんの会話を聞いているうちに、室内の温度が二℃程下がった。
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