記憶のキロク
午後
「若者が何難しい顔して考えておる。若者なら若者らしく、悩むなど後回しにして突き進まんかい」

 思考の海に身を沈めていたら、じいさんの声で現実にサルベージされた。

「はあ」

 つい、生返事をしてしまった。

「悩むなとゆうておるんじゃが、そんなに悩みたいなら、盤の上で悩んだらどうじゃ?」

 どうやら、将棋をしたかったらしい。

「ええ、いいですよ」

 暇だし。まあいいか
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