記憶のキロク
 寝れねぇ。覚悟を決めたのはいいが眠れねぇ。

 春風ちゃんの、規則正しい寝息が首筋にかかり、右腕に春風ちゃんの両手が優しく、絡んでいて、春風ちゃんのやわらかな感触と心音が、パジャマ越しにも伝わってきて、寝るに寝れない状態にまで追い込まれてしまった。

 俺の気持ちとは関係なく時は静かに流れていく。

「お兄ちゃん……」

「ん?」

 何だ。寝言で呼ばれたのか。

 いったいどんな夢を見てるんだろう?

「……のえっち………」

 どうやら、俺がえっちな夢を見ているらしい……
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