記憶のキロク
 独り言を呟き、俯瞰情景を眺めていると、俺を縁から遠ざけるように、一陣の風が吹いた。

「春の風……」

 春風ちゃん、俺に生きろって言うの?

 でもそれは、無理なんだ。

 人は独りじゃ生きていけないから……それに、約束の事なら心配しないで、春風ちゃんとの思い出を小説にしたから。
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