星王子の幸せレッスン
私の腕を掴んで、静止させようとする彼の行動で、すべてがわかってしまった。部屋の中にからかすかに物音がした。



私は鍵をドアノブにさしたまま、アパートを駈け出した。



「ユキ!」



亮二は私の名を呼んだけど、追ってはこなかった。



それが答えだった。



私は静まり返った住宅街を走りながら、泣いていた。
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