星王子の幸せレッスン
「お姉さんひとりなの?」



後ろから声を掛けられて、振り返ると中年の男性二人がニヤニヤと笑っていた。



いかにも定年過ぎたので、趣味で山登っていますといわんばかりの本格的な登山の装備をしていた。



私は正直に答えたら、絡まれて面倒なことにならないかと危惧しながらも、嘘をつくのも面倒だったので「ええ。ひとりで来ました」と正直に答えた。



痩せて眼鏡をかけた方のおじさんが「女性が一人で来るなんて、珍しいね」と言い、太めで汗をかいているおじさんは「でも、最近は山に登る女性が増えているっていうよね。何ガールだっけ?」と聞いてきたものだから、私はすっかり辟易してしまった。



「はぁ。そうですね」と適当に相槌を打ちながら、どうにか早足で二人から離れることができた。
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