星王子の幸せレッスン
観光客の団体の波にのまれながら、私は無性に腹がたってきた。



なんで私はこんなことしてるの?



誰もいない場所に行きたかったはずなのに、世俗感たっぷりの山道で、私は何を求めているの?



思えば、私の人生はこんなものだった。



期待すれば裏切られる、人生。仕事も恋人も、自分の将来も。期待しては裏切られる。



でも、一番厄介なのは、裏切られても心のどこかで「やっぱりな」と思ってしまうところだ。



私は期待しながらも、自分で自分をどこかで諦めてしまっているのかもしれない。



いつから卑屈な自分になってしまったのだろう…。



すっかり憂鬱な気分に浸りながら歩いていると、いつの間にか周りに人がいなくなっていた。
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