星王子の幸せレッスン
「じゃあさ、ユキはどんな状態が幸せなんだと思う?」


「え?」


「人それぞれ、幸せの形は違うだろう?ある人はお金持ちになることが幸せなのかもしれない。ある人はキャリアアップが幸せかもしれない。病気がちの人は健康になることが幸せかもしれないし、結婚をすることが幸せという人もいる」


確かにそうだ。幸せの形は人それぞれ。私にとって幸せの形はなんだろう?


「うーん…そうね。そう言われてみると悩むな」


私は考えをめぐらせた。


「…やっぱり、これかな。“運命の人”に出会いたい。出会って、幸せな結婚をしたい!」


夜の森に私の声が響きわたった。私は思わず赤面してしまった。いい年した女が何を森の中で叫んでいるのか。


「なんてね。バカみたいでしょ?」


私は王子さまの顔を直視できずに、膝に顔をうずくめながら言った。


「ううん。それがユキの幸せなのであれば、それでいいと思う」


王子さまは優しい声でそう言った。


「でも、そんなの無理だよね。私なんかが、運命の人に出会えるわけない。というか、運命なんて本当にあるのかな。映画や小説の中のフィクションでしかないかもしれないのに。私はこんな年になってもまだ信じようとしているんだよ。バカみたいじゃない?」
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