星王子の幸せレッスン
王子さまはため息をついた。


「ユキは最初からあきらめている」


私はむっとして言った。


「だって、こんな森の中で想像するなんて無理だよ。いま私遭難中だよ?生きるか死ぬかなのに、なんで運命の人との出会いについてイメージトレーニングしなきゃならないの!?」


王子さまと私は無言でお互いを見詰め合った。しばらくして王子さまが言った。


「大丈夫、ユキは元に戻れるよ。ユキはずいぶん山奥に来てしまったと思い込んでいるけど、実際はそれほど山道から離れていないんだ」


「そうなの?」


「うん、あの方向に500メートル位進むと山道に出るから、その山道を下っていくといい」


王子さまは私の後ろを指さして言った。


「なんだ・・・」


私は拍子抜けしてしまった。あんなに歩きまわったけれど、それほど奥地まで行ってなかったんだ。


「夜が明けたら、山を下るんだ」


「わかった。・・・ありがとう」


私は胸をなでおろした。なんとか自力で帰れそうだ。


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