砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「……あなた、私を殺しにきたの?」

 それは、戦う者の瞳だった。
 


「いいえ」

 龍星はきっぱりと言う。

「そんな気はさらさらありませんから、そろそろ短剣から手を放してくれませんか?」


 龍星の言葉に、毬は袂に隠していた右手を出す。
 短剣を握りしめている手は震えていた。



「ごめんなさい」

 毬はばつが悪そうにうなだれた。さっきまでとはまるで別人。
 一瞬にして、叱られた仔犬のようにしょげる少女がそこに居た。
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