砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「笑えるくらいなら、大丈夫だな」

 彼がほっと、息を吐いた。

 空は綺麗な橙色に染まっている。
 さっきまで、青かったのに。

 僕、何をしてたんだっけ。

 緑の上に寝転んだまま、ゆっくり記憶を辿る。

 友達とかくれんぼしていて、藪の中に入って……

 ああ、そこから落ちたんだ。


「東宮様っ」

 太目の薬師が慌てた様子で息を切らして駆けて来た。

「なんだい、ずいぶん時間がかかるんだな」

 東宮、と呼ばれた彼は子供らしからぬ涼しい目元で笑った。

「いえ、その。
 あの」

 薬師はしどろもどろになっている。

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